工学部メールマガジン

                静岡大学工学部 [第32号] 2021年4月 配信
  http://www.eng.shizuoka.ac.jp/outline/magazines/
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  ☆☆☆ 第32号発行 ☆☆☆
  このたび,メールマガジン第32号を発行いたしました.
  本メールは,静岡大学工学部の近況についてお送りします.
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┃ 1. 【特別寄稿】

┃ 2. 【工学部のNews & Topics】

┃ 3. 【工学部の研究紹介】

┃ 4. 【お知らせ】

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[1] 【特別寄稿】
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工学部長就任のご挨拶

工学部長 喜多 隆介


 令和3年4月より工学部長を務めます喜多隆介と申します。工学部は学生数では静岡大学の約3割を占める静岡大学の中核的な組織の一つです。工学部の力をより高めて皆様のお役に立てるよう頑張りたいと思います。
 さて、昨年以来、新型コロナウイルス感染拡大というこれまで誰も想像さえしなかった事態となりました。大学も大きな影響を受け、キャンパスからは学生の姿が消え、授業期間でありながらこれまで見たことのないような大変寂しい風景が見られました。大学にとってこれまで基本であった対面での講義・実験・実習が思うようにできなくなり、オンラインでの授業が中心となりました。現在では少しずつ改善されつつありますが、依然として同様な状況が続いています。
 「対話」は物事の本質を見極めていく重要な手段であり、双方向の有機的なコミュニケーションは学問を深めていく上で欠かせない手段です。コロナ禍によりこれが困難となった状況は、大きな波紋を広げています。工学部としては、教職員、学生と力を合わせ試行錯誤しながらこの厳しい状況に対応してきましたが、生命にも関わる気の抜けない危機であり、引き続き様々な対策を打ちこの困難を乗りきるべく取り組んでいます。
 さて、新年度の工学部の方針として、「共創力による工学部の強化」を目指していきます。「共創力」は英語では“creative power of collaboration”とでも言えるでしょうか。このcollaborationという意味は、単にマンパワーの足し算ではなく、多様性をもった集団の有機的な繋がりにより生み出されるものです。心理学者のキース・ソーヤーは、この様な取り組みを“Group Genius”と呼んでいます。誰が発明したか明確でない(目に見えない競争力で生み出されたものとして)身近にある例として、eメールや、マウンテンバイクなどがあげられています。
 話は逸れましたが、存在感のある工学部を作るためには、国際的な競争力を持ち、産業発展に貢献できる確かな研究力と優秀な研究者・エンジニアを育て上げる教育力が不可欠であることは論を俟ちません。このためには教職員一人一人が、それぞれの持ち味を活かし、「静大工学部という共創力」を高める必要があると考えています。具体的には、個々の自由な研究を進めつつ、共創力をキーワードとして、例えば研究グループ形成による研究力の向上、工学基礎力やオンライン教育の充実等による教育力の向上、また工学部の魅力を発信するための広報活動の強化等に努めて行きたいと考えています。
 これらについては今後、工学部の皆様の意見をはじめ、学外の方の意見も広く聞きながら一緒に考えていきたいと思っています。より存在感の高い工学部の実現のために、引き続き皆様のご協力、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
 
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[2] 【工学部のNews & Topics】
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■ 新任教員の紹介

学術院工学領域
数理システム工学系列
准教授 村田 美帆
 

 2020年4月に工学部数理システム工学科准教授に着任しました村田 美帆(むらた みほ)と申します。
 出身は神奈川県です。早稲田大学の博士後期課程修了後、神奈川大学工学部で4年間勤務し、現在に至ります。
 研究テーマは、液体や気体など、流体の運動を表す偏微分方程式の数学解析です。最近では「キャビテーション」と呼ばれる現象の解析に応用が期待される方程式を考察しています。キャビテーションとは、液体の圧力変化により気泡の発生と消滅が繰り返される現象です。たとえば、船のスクリューが高速回転するとき、この現象によりスクリューに悪影響をもたらすといわれ、多方面から研究が進められています。私の研究手法は純粋数学に分類されますが、今後も背景に現象が見える数理モデルを扱っていきたいと考えています。
 これからも研究および教育に一層精進し、静岡大学に微力ながら尽力していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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■在外研究だより

カリフォルニア工科大学における在外研究

工学部機械工学科
吹場 活佳

 2019年4月~9月末まで、アメリカのカリフォルニア工科大学、通称Caltechに滞在し在外研究を行いました。私自身1か月を超える海外への滞在は初めてで、渡航前は不安なことだらけでした。実際行ってみると訪問先の先生が素晴らしい方だったこともあり、自分にとって忘れがたい体験となりました。
 渡航前は英語の勉強を頑張りました。半年間英会話教室にも通い、それなりに準備したつもりでした。しかし実際に渡航してみるとネイティブの英語は想像以上に手ごわく、特に最初の1、2か月は非常に苦労しました。とにかく省略がすごいです。例えば私のホストである先生は「getting closer!」と口癖のように言うのですが、当初はなんのことか全くわかりませんでした。訊いてみると「We are getting closer to our goal!」の省略形なんだとか。私は高校時代に英語では必ず最初に主語が来る、と習ったのですが、実際には主語が省略されることもしばしばあり、驚きました。
 Caltechは学術的な意味でも、文化的な意味でも超有名です。ちょうど私が渡航した時に「The Big Bang Theory」というCaltechの学生が登場するドラマが全米で人気でした。ドラマで描かれているように変人が集まる大学としても有名で、平日にアニメのコスプレをした学生が学内を闊歩しているのを見かけました。2019年には「進撃の巨人」が人気で、ある時隣の研究室の学生が「今日はあなたと進撃の巨人について語りたい」といって訪ねてきたことがありました。
 Caltechは長年世界大学ランキングの上位を維持しています。その理由について、当時副学長でもあった訪問先の先生からいろいろ話を聞きました。まず教員と学生の比率が1:3と異常に低い点が特徴の一つに挙げられます。このような比率を維持できる理由として運営基金の存在があります。100年以上前に多額の寄付を受けたCaltechは、その後も基金を高い利率で運用し続け、現在ではその額が3500億円ほどになっているそうです。これを5%で運用すると70億くらいになり、毎年この額が収入として入ってきます。また学内の建物はほとんど寄付で建てられています。私のいた建物は「Firestone」と呼ばれていましたが、これはタイヤの販売で財をなしたFirestone氏が寄付してくれたそうです。その他、人件費なども寄付で成り立っています。私の訪問先の先生は「C. L. “Kelly” Johnson Professor」という肩書を持っているのですが、これは先生の人件費がKelly Johnson氏が寄付した基金から出ていることを意味しているそうです。
 また新しいアイデアを生み出すための環境も整っています。私が訪問していたGALCITという組織は、静大でいうと学科レベルのサイズの組織です。GALCITでは毎週他大学やNASAから研究者を招き講演会を実施していました。またCaltech全体として分野間の知識の交わりの中から新しいアイデアが生まれる、という統一した哲学があり、これに沿って柔軟なカリキュラムが組まれています。私は6月から学部2年生と一緒に研究を行いましたが、この学部生はコンピュータ科学を専攻する学生で、GALCITの航空工学とは全く異なる分野の学生でした。この学生が利用したのは「SURF」と呼ばれる夏季限定の教育プログラムで、6~8月の3か月間、他分野の研究室に所属して研究を行うことで知識を広めるんだそうです。学部低学年のうちからこのようなプログラムで多くのことを学べるのは素晴らしいことだと感じました。
 CaltechのGALCITという組織はまさにアメリカの航空工学が始まった場所であり、航空宇宙の分野では特別な意味があります。私は学生のころから一度このGALCITに行ってみたいと思っており、今回静岡大学の在外研究プログラムを通じて訪問することができ本当に幸せでした。今後もこのプログラムを多くの若い先生方に活用してもらえることを願います。


GALCITのカルマンルームの天井

GALCITのカルマンルームの天井。カルマンはGALCITの創始者で
円柱の下流に生じる「カルマン渦」の名前になったことで有名

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■工学部学習奨励賞

学生支援企画室長
化学バイオ工学系列教授
平川 和貴

 第1回目となる工学部学習奨励賞受賞者が決定され、4月6日に各学科で表彰状と記念品の授与が執り行われました。工学部学習奨励賞は、本学卒業生である故・村川二郎氏(昭和14年卒)からの工学部への寄付金を財源として、学生さんを励まし、応援することを目的に始まりました。栄誉ある第1回目は、2020年4月に入学した新2年生の中から1年次の成績により選考し、機械工学科から12名、電気電子工学科、電子物質科学科、化学バイオ工学科から各8名、数理システム工学科から4名が選ばれました。受賞者の人数は、各学科の定員に比例しています。機械工学科で執り行われました工学部学習奨励賞授与式を掲載します。今年度ご入学の学生さんも是非勉学に励んでください。また、卒業時までの成績優秀者にも表彰の制度が複数あります。全ての学生さんが楽しく勉強し、研究し、成長して卒業されることを願っています。

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■ 学生サークル活動

・探検部

探検部 中田 陽貴

無人島で生活する気分はどんなものだろうか。一日中歩き続けた後にどんな世界が見えるだろうか。大自然の洞窟の中で明かりを消したとき、一体何が聞こえるのだろうか。一面銀世界の大自然の頂に立った時、何を思うのだろうか。
 その答えは、自ら体験したものにしか分からない。同じ瞬間を共有したものにしか理解しえない。決して言葉では表すことのできない感動がそこにはある。

こんにちは! 探検部部長の中田陽貴です!

 探検部はアウトドア活動を中心に幅広く活動を行っています。部員は100人以上います。4大活動と呼ばれる登山、沢登り、ラフティング、洞窟調査をはじめ、時には無人島合宿、温泉堀り、クライミング、外国での自転車横断の旅といったこの部活でしか体験できない様々な活動を行っています。活動の流れとしては毎週部会を開き、そこで行った活動の報告や、新たな活動の提案を行い仲間を募ります。そして様々な活動の中から部員が土日、長期休みを利用して思い思いの活動に参加します。

 探検部の代名詞は“未知への挑戦”です。今までの人生、そしてこれからの人生で決して体験できないような経験ができることが探検部の良さだと思います。探検部の活動は普通の大学生ではやりたくてもなかなか実現するのが難しい体験が多く、それ故に活動毎に新鮮な感覚をもち、活動に行った人しかわからない感動があります。

 僕はラフティングというゴムボートで川を下るスポーツに魅了されました。ラフティングの魅力の一つはスリルと爽快感です。ライフジャケットなどを装備し、安全対策はしっかりしてますが、慣れてきた今でも激しい白波にのまれそうになった時はとてもスリルを感じます。また水しぶきを浴びながら仲間と力を合わせて下りきった時の爽快感はたまりません。

 新型コロナの影響で活動ができなくなった期間もありました。特に、サークルの特徴上、他県に行くことも多く、自由に活動できないことがほとんどでした。しかし私たちはコロナ対策を徹底することで少しずつ活動を再開しています。未だに大人数での活動が制限されたり、後輩への技術継承が順調に進まなかったりと多く問題を抱えてますが、また自由に探検できる日を待ちながら今できる活動を一生懸命やっていこうと思ってます。

【主な活動 (4大活動)】
・登山 ・ラフティング ・沢登り ・洞窟探検
・毎週木曜日16時15分から課外活動棟にて部会が開かれます。
【他の活動】
・キャンプ ・釣り ・スキースノボ ・果実狩り ・サバゲー ・ボルダリング
【活動年間行事 (予定)】
4月 新歓鍋会
6月 新歓樹海合宿 フードファイト
8月9月 無人島合宿
10月 シティートレック
11月 大学祭(出し物)
12月 忘年会
1月 スキースノボ合宿
3月 追いコン
※コロナウイルス対策の為、変更になることがあります

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         4大活動 登山 

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    4大活動 洞窟探検

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       4大活動 沢登り          

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       4大活動 ラフティング

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[3] 【工学部の研究紹介】
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「血管生理計測技術と循環器疾患評価に関する研究」

工学部電気電子工学科
情報エレクトロニクスコース
助教 平野 陽豊

 ヒトは循環、呼吸、消化、体温調整など生命活動維持のために非常に高度で複雑なシステムを持っており、これらは無意識下で制御・情報処理されています。しかし、現代の最先端医学・工学技術をもってしてもこの複雑なシステムの全容を明らかにすることはできていません。もし、この複雑なシステムを明らかにすることができれば、例えば病気が起こるメカニズムを明らかにすること、病気を定量的に診断すること、または新しい病気の治療法確立に役立つ医療機器開発に結び付く可能性があります。私の研究室では特に血管に着目し、血管の生理現象について非侵襲計測するためのデバイス開発、計測された信号処理法および血管生理を工学的な力学・電気モデルとして表現する方法を提案しております。また、提案した工学モデルを用いて循環器疾患を評価するための医工連携研究を行っております。最終的にこれらの技術を社会還元することを目指して研究を進めていきたいと考えております。

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[4] 【お知らせ】
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 静岡大学工学部は、2022年に創立100周年を迎えます。それに合わせて記念事業が行われます。皆様のご協力をお願いいたします。

https://wwp.shizuoka.ac.jp/hamacam100/

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       ~最後までお読みいただきありがとうございました~

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