工学部メールマガジン[第33号]2021年10月配信

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                静岡大学工学部 [第33号] 2021年10月 配信
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  ☆☆☆ 第33号発行 ☆☆☆
  このたび,メールマガジン第33号を発行いたしました.
  本メールは,静岡大学工学部の近況についてお送りします.
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

┃ 1. 【特別寄稿】

┃ 2. 【工学部のNews & Topics】

┃ 3. 【工学部の研究紹介】

┃ 4. 【お知らせ】

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[1] 【特別寄稿】
               留学生たちの夏休み
            ~緊急事態宣言下のインターンシップ~
                             国際連携推進機構
                             特任教授 藤巻 義博
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 今年の夏休みは新型コロナ感染防止の緊急事態宣言の中、静岡大学の工学部学生19名(学部生・大学院生)を含む留学生24名の留学生が対面でのインターンシップを修了しました。全参加留学生及び受け入れ地元企業全社9社が感染、体調を崩すこともなく無事終えることが出来たのは幸運だったというよりも参加企業の協力が非常に大きかったと思います。学生、受け入れ企業は感染対策徹底の為のワクチン接種、直前のPCR検査等を行いインターンシップに臨みましたがそこまで来るのに大変な苦労がありました。感染防止対策の為に企業は4度にわたりインターンシップスケジュールを変更して、従来9月末までの夏休み中に終わらせるべき夏期インターンシップが終了したのは後期授業開始の10月を割り込んでいました。


留学生インターンシップの様子

「続きはこちら」

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[2] 【工学部のNews & Topics】
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■ 新任教員の紹介
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                             化学バイオ工学系列 
                             助教 北村 勇吉

 2020年10月に工学部化学バイオ工学科工学科に着任した北村勇吉(きたむらゆうきち)と申します。専門分野は計算化学と理論化学であり、理論手法の開発と応用研究によって博士号を取得しました。具体的には量子化学計算と古典分子シミュレーション法を駆使した理論手法を開発し、溶媒中の分子スペクトルなどの物理量に対する溶媒和効果の微視的な寄与を明らかにしてきました。静岡大学では、統計解析手法や機械学習などのデータマイニング手法を用いた解析について興味を持ち研究活動を展開しています。現在は、特異的なソルバトクロミズムシフトを示している蛍光材料の研究対象として、量子化学計算、分子シミュレーションからデータマイニング手法をシームレスに取り組んだ統合的なアプローチによって取り組んでいます。また、複雑な構造や機能を有するタンパク質も研究対象として応用研究を行っています。これらの理論的な分子技術が、理論化学分野のみならず便利な社会を支えることに寄与することを目指しています。研究者・教員としてスタートを切ったばかりのひよっこですが、コツコツと地道に努力する所存でありますので、ご指導ご鞭撻のほどどうぞよろしく申し上げます。

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■在外研究だより
ジーゲン大学(ドイツ)における在外研究
                             電気電子工学系列
                             准教授 安富 啓太

 2019年2月末~5月末まで、ドイツのジーゲン大学に滞在し、在外研究を行いました。ドイツへの渡航は全く初めてで、自作したToFカメラ(イメージセンサの評価用基板でカメラというほど完成されてはいませんが)を持ち込む必要もあり、その発送準備に追われギリギリまで大学にいて、準備がほとんどできませんでしたが、ドイツに滞在したことのある先生にアドバイスをもらっていたため、滞在自体はスムーズに入ることができました。
 ジーゲンはフランクフルトの北西に位置していて、2時間弱の都心からは離れた場所にあります。ドイツはほとんどの地域が硬水ですが、ジーゲンは珍しく軟水で水道水がそのまま飲める地域です。着いた当初の2月~4月は雨続きでしたが、4月後半から5月にかけては気候もちょうど良く、過ごしやすいものでした。ドイツ(ジーゲン)は北海道よりも緯度が高い位置にあり、暖房はしっかりしています。一方で、冷房は基本的にないらしく、最近では夏になると暑くて辛いそうです。
 ドイツでは観光地の施設やレストランを除き、日曜日はスーパーやデパートなどは全てしまってしまいます。労働者の休暇を守るために法律で決められているからだそうです。駅前等には日本のキオスク程度の売店は日曜・祝日でも開いていますが、日本のコンビニのように品揃えは良くありません。もちろん、24時間営業でもありません(都心部のごく一部はあるようですが)。始めは不便に感じましたが、慣れてしまえばそこまでの不便さは感じませんでした。むしろ、日本ではコンビニが多く、いつでも何でも揃えられる状況は異常なのかとも思います。ビールは安価で種類も多く、ワインも安く手に入り、久々の独身生活は難なく過ごすことができました。ただ唯一ずっと不便だったのは、郵便です。Amazonで足りないものを調達していましたが、予定日にそもそも届かなかったり、予定通り配達されようとしてもチャイムをならさずに不在扱いとなったりです。ひどいものだと、勝手に隣人に預けてしまわれたり・ベランダに投げ入れる等あるようです。この点では、日本が非常に便利だと感じました。
 基本的にはドイツ語でコミュニケーションが取られており、大学内の案内等も全てドイツ語です。大学内はほぼ全ての場所で英語が通じるので、不便さは感じませんでした(自分の英語能力向上の必要性は痛感しました)。ただ、学食などはドイツ語表記なので、何が出てくるのかよくわからず、適当に食べていました。同室だったインド人の方は英語しかできませんでしたが、家族と一緒に2年ほど滞在しているそうで、何とかなるようです。カタコトしか喋れない人はいますが、お互いにとって英語が第二言語ということでコミュニケーションは取れました。
 在外研究は、光の飛行時間(Time-of-Flight:ToF)を利用した距離画像カメラの評価に関する研究で、滞在先はAndress Kolb教授の元で行いました。一番大変だったのはカメラの輸送で、関税の取り扱いで自分の知らないところで荷物がストップしてしまい、カメラが届くまでに時間がかかったり、肝心のカメラが静電気の影響なのか壊れてしまうなどのトラブル続きでした。日本でサポート頂いた川人研秘書の方々のご助力もあり、2台目を送ってもらい、実験を開始することができました。2台目も数週間後にまた壊れることになるのですが、現地で修士の学生をアルバイトでつけてくれていたおかげもあり、予定していた評価は実施することができました。カメラを待つ間も、ToFカメラのシミュレーションを行っていた研究者と議論する機会もあり、非常に有意義に過ごすことができました。
 最後になりましたが、故・村川二郎氏、在外研究にあたり講義や委員会の分担を引き受けて下さった先生方に深く感謝申し上げます。また、多岐にわたりサポート頂いた川人・香川研の皆様に厚く御礼申し上げます。


持ち込んだToFカメラ(左:自作,右:大学発ベンチャーのToFカメラ)


滞在した研究室のある建物


ジーゲンの洒落た市庁舎


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■ オリエンテーリング部 ~知力×走力の競技~
                             オリエンテーリング部
                             井土 宙

 こんにちは!オリエンテーリング部部長の井土宙です!
まず、オリエンテーリングとは?「専用に作られた地図を使って、大自然や公園の中に設置されたチェックポイントを回るタイムを競う知力と走力がカギとなるスポーツ」です。
紫の△で示されたスタート地点から、◯で示されたチェックポイントを順番通りに通過し、◎で示されたフィニッシュまでの所要時間を競います。
 実際に静岡キャンパスを例に紹介していきます!
皆さんに質問です、1の番号がついている円の中心(静岡キャンパス教育学部F棟の北)から2の番号がついている円の中心(静岡キャンパス教育学部H棟の南)までどのように行きますか?
*建物の中には入れません。地図では灰色で表されます。薄い灰色の部分は通行可能です

 実際に2つに分かれると思います。青ルートは最短距離のルートで建物の間をグネグネ行かなければならなくスピードが落ち、自分の現在地が分からなくなるかもしれません、知力がより要求されてきます。対して、赤ルートについて距離は少し長いが簡単に行けそうでスピードが出るルートで走力がより要求されます。また他の行き方もあり、どのルートも間違いではなく正解です。

 実競技中では瞬時に頭で行き方を考えて自分の行きたいように走っていく「自由」なところ、知力を駆使して足の速い人よりも早くチェックポイントにたどり着ける、これがオリエンテーリングの楽しさです!
 部活動としては平日に週1回のラントレ、地図読み会、部会をして土日に全国の山々でオリエンテーリングをします!他大学との交流が盛んで近くにある名古屋大学、名古屋工業大学、椙山女学園大学とはとても仲が良く、コロナの影響でできていませんが、例年はこの3校と合同合宿もしたりしています。
 オリエンテーリングは山の中、1人で行われるスポーツなので、コロナ禍でも多くのイベント、大会が開かれています。特に10,11月はオリエンテーリングのシーズンで全日本大会やインカレがあります。現在は活動が行いにくい状況ですが個人でラントレ、オンラインでの地図読み会などできることをして、全日本大会やインカレに向けて励んでいきたいと思います。

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[3] 【工学部の研究紹介】
 「不確実性下での経路探索」
                             数理システム工学系列
                             助教 呉 偉

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最短路問題とは、重み付きグラフ、始点と終点が与えられたとき、重み(コスト)が最小の経路を求める問題です。最短路問題は代表的な組合せ最適化問題の1つであり、交通、物流、都市計画など多くの分野に応用があります。そのような応用において辺のコストは移動時間などに対応しますが、現実問題への応用を考えると、天気、渋滞、運転手の心身状況、信号の都合などの要因で辺のコストに不確かさが内在する状況が考えられます。日常移動、避難、救急などのために経路を求める際に通常移動時間最短となる経路を選んでも、予期できない要因で最も早く着くとは限りません。実際、皆さんもよく使用するであろうGoogle Mapアプリでは通常移動時間のほかに、悲観的・楽観的の移動時間予測も提供されています。
 私の研究ではこのような不確実性情報が与えられるとき、移動経路の評価基準および良い経路の探索方法を提案しています。現在進行中の研究は、コストの取り得る区間が各辺に与えられるモデルを考え、その中で変動するあらゆるコストに対する解のロバスト性を考慮した後悔最小最短路問題を対象とします。「各辺のコストをはっきり知らなかったのでしかたありませんが、計画段階で別の経路を選択していればもっと早く着けたのに」と後悔することのないような計画、つまり、入力データの変動に大きく影響されないような経路を求めたいです。古典的な最短路問題はダイクストラ法などの多項式時間アルゴリズムが存在しますが、後悔最小最短路問題は計算量理論においてのNP困難性が知られています。この計算困難な問題に対し、厳密解法への挑戦を行います。
 一方、応用の場面においては、厳密な最適経路は必ずしも必要ではなく、比較的に短い時間(数秒)でよい経路を求まれば十分満足である場合も多いため、効率の良い発見的解法の開発も目指します。実世界の事例を通して設計した数理モデルと最適化技術の有用性を確かめたいです。
 最終的に、Webサービスの公開などを通して社会に研究成果を提供できることを目指しています。


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[4] 【お知らせ】
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静岡大学工学部は、2022年に創立100周年を迎えます。それに合わせて記念事業が行われます。皆様のご協力をお願いいたします。
    https://wwp.shizuoka.ac.jp/hamacam100/

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       ~最後までお読みいただきありがとうございました~

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【静大工学部メールマガジン】

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