電子物質科学科〔学部〕/電子物質科学コース〔大学院(修士課程)〕
電子物質科学科の概要
設計した化学反応通りに
目的物質ができたかな?
分析してみましょうか
エレクトロニクスや高性能電池による自動車の進歩、LED照明、ブルーレイディスクの出現による情報機器の発展や高性能太陽電池開発など、電子デバイスと材料開発の分野で生活や産業の基盤となる新しい技術が生まれています。本学科は電子物理工学と材料化学を基礎として、エネルギー産業、自動車を代表とする輸送機器産業或いは電気電子機器産業の発展に不可欠な電子デバイス及び材料の創製やMEMSのような今後発展が予想されるナノデバイスまで、幅広い電子デバイスや今後ますますの発展が望まれるエネルギー関連材料などにかかわる学問分野と科学技術に関する実践的教育・研究を行うとともに、新規な学問領域や科学技術の進歩を牽引できる人材の育成を目標としています。
電子物質科学科の教育
電子物理デバイス工学実験Ⅰ
(デバイス特性の測定)
電子物質科学科では、「電子物理デバイス分野」と「材料エネルギー化学分野」の2つの分野を設けています。1年次に共通の専門授業を受けたのち、2年次から分野に分かれ、電子物理工学及び材料化学の基礎とそれらの発展による専門分野の科学と工学を学びます。
電子物理デバイス分野
電磁気学、電気・電子回路、固体物理学、電子デバイスなどのエレクトロニクスの基礎学問に加え、新規なデバイス創製のために不可欠な物質科学分野の基礎学問を学ぶことにより、電子デバイスや物質科学の基礎を身に付けた、世界的な視点で新しいデバイスを革新できる優れた人材の育成を目指します。
材料エネルギー化学分野
化学の基礎に加え、物理化学・材料科学などの基礎学問を確実に修得することにより、再生可能エネルギーを生み出すエネルギー関連材料や環境調和材料あるいは新たなデバイスの創製につながる電子・光材料の開発が可能な優れた人材の育成を目指します。
電子物理デバイス分野
本分野では、電磁気学、電気・電子回路、固体物理学、電子デバイスなどのエレクトロニクスの基礎学問に加え、新規なデバイス創製のために不可欠な物質科学分野の基礎学問を学ぶことにより、電子デバイスや物質科学の基礎を身に付けた、世界的な視野から電子デバイス分野の発展に寄与できるエレクトロニクス技術者の育成を目標としています。
将来にわたり日本の豊かな高度福祉社会を維持・発展させるためにはエレクトロニクスをハード面から支える先端デバイスの開発に携われる人材の育成が不可欠であり、電子デバイスや画像デバイス開発の中核を担ってきた電子工学研究所や電気電子工学科の材料デバイス分野と物質工学科の材料エネルギー化学分野の融合により、エネルギーデバイスや光・電子デバイスなどの新規デバイスを創製できる広い視野と学問的基礎を兼ね備えたエレクトロニクス技術者を育成します。
さらに、修士課程を含めた専門科目では、量子効果デバイスや固体表面化学、ナノ構造物の電気伝導など、今後のデバイス創製に不可欠な量子エレクトロニクス、スピントロニクス、ナノフォトニクスといった分野の教育も網羅しています。卒業研究や修士課程で配属される研究室でも、ナノテクノロジーや量子力学的効果を利用した最先端のデバイス研究が行われています。そこでは材料開発から実際のデバイス作製まで、世界の最先端の研究に携わりながら、研究者・技術者としてのポテンシャルを高めることができます。
それゆえに、本分野を修めた学生は、卒業後には日本の中核企業で活躍し、未来のエレクトロニクス産業の発展に大きく寄与すると期待されます。
社会実装に向けたカーボンナノチューブ技術開発
ナノ材料科学を駆使した、次世代カーボンナノチューブ(CNT)技術を開発しています。CNTは、超軽量でありながら鋼鉄の10倍以上の強度を有し、その上電気も良く流れます。社会に応用するため、センサー応用や宇宙応用などの研究を展開しています。
レーザー照射による機能性光ナノデバイスの創出
銀イオン含有ポリマーに超短パルスレーザーを集光することにより線幅300 nm(髪の毛の太さの約300分の1)の金属細線をパターニングする独自技術を開発しました。ウェアラブルデバイスの金属配線や有機ELディスプレイの高輝度化への応用展開を進めています。
III族窒化物半導体を用いた新機能デバイス開発
青色発光ダイオード(LED)の材料として利用されるIII族窒化物半導体を使って、新機能デバイスを開発しています。III族窒化物の優れた材料特性を利用して、世界初となる放射線(熱中性子)イメージセンサーや超短波レーザー素子を実現するために、材料開発からデバイス作製まで行っています。
材料エネルギー化学分野
本分野では、化学の基礎分野及び物理化学を確実に修得するとともに、電磁気学、電気・電子回路、固体物理学、電子デバイスなどのエレクトロニクスの基礎学問を学ぶことで、再生可能エネルギーを生み出す新規エネルギー関連材料や環境調和材料 (Materials with low environmental load) あるいは新規デバイスの創製に繋がる電子光材料の開発が可能な優れた人材の育成を目指します。
将来の産業分野として大きな発展が期待される太陽電池等のエネルギー関連産業のみならず、従来の自動車を基盤とする輸送機器産業や家電製品を基盤とする電気電子機器産業と、あらゆる産業において省エネ技術をはじめとする環境調和型エネルギーデバイスの新技術を開発することは、緊急かつ継続的な課題となっています。これら新技術の開拓にあたり、材料エネルギー化学分野では、薄膜・ナノ材料、エネルギー関連材料、次世代革新電池、光材料、希少元素を代替できる新材料、省エネルギープロセスによる先端材料の合成技術等あらゆる視点から新技術開拓に向けて取り組んでいます。学生は、電子物質科学の基礎学問の習得により近年の複合的技術に対応できる広い視野を身につけ、これを基盤として本分野の各研究室が取り組む最先端の材料エネルギー化学研究に卒業研究や修士課程において取り組み、材料科学を高度に応用、展開することができる能力を研鑽します。
これら基礎学力習得とその応用展開能力を厳しく研鑽された学生は、大きな期待がよせられる新規エネルギー関連材料等分野の優れた技術者あるいは研究者として飛躍するのみならず、幅広い分野でグローバルに活躍することが期待されるポテンシャルを獲得することが期待されます。
高性能色素増感太陽電池の開発
色素増感太陽電池は、光を吸収した色素が生成した電子を、半導体層、電解質層及び電極を循環させて電力を得ます。この電池の特徴は、製造プロセスが非常に簡便で環境に優しく、結果として低価格化が可能であることです。この電池の性能を向上させるために、色々なナノ構造が利用されています。
安心・安全な全固体型Liイオン二次電池の開発
- 固体電解質に酸化物を使用 → 難燃性かつ大気中で安定!
- 電池の作製のために、通常の1000℃以上の加熱処理を不要とし、約100℃の乾燥のみで十分 → 簡便な電池作製の実現!
- 高いイオン伝導率(~10-4 [S/cm] )を達成 → 実用化レベル!
分子を並べる・動かす・繋げる
有機分子は、分子を特定の方向に並べたり、動かしたり、繋げたりすることで優れた光学特性・電気特性を示します。これらの現象のメカニズムを解明し自在に制御することで、フレキシブルなセンサやディスプレイに応用可能な薄膜や、高速応答が可能な液晶素子の実現を目指しています。
卒業後の進路
学部卒業生の約60%が大学院修士課程に進学し、修士課程修了者のうち若干名が博士後期課程に進学します。 就職先はおもに電子機器産業(東芝、パナソニック、日立、富士通)、光産業(浜松ホトニクス等)、自動車・輸送機器産業(トヨタ、スズキ、ホンダ、ヤマハ発動機、ダンロップ、JR東海、デンソー、アイシン精機等)、エネルギー産業(中部電力、電池関連会社等)、ガラス・セラミックス産業(日本特殊陶業、ノリタケ、LIXIL、TDK、村田製作所、太陽誘電、旭硝子、京セラ、日本ガイシ等)、化学産業(豊田合成、東海ゴム、東亞合成、日東電工)等幅広い産業分野にわたります。
就職率はほぼ100%です。
主な就職先(2019~2021年度卒業・修了生)
- アイシン
- キオクシア
- キャタラー
- キヤノン
- 京セラ
- 小糸製作所
- スズキ
- 住友電気工業
- 住友電装
- セイコーエプソン
- デンソー
- トヨタ自動車
- 豊田自動織機
- トヨタ車体
- トヨタ紡織
- ニチコン
- 日本エー・エス・エム
- 日本ガイシ
- 日本特殊陶業
- パナソニック
- 浜松ホトニクス
- 日立ハイテク
- 本田技研工業
- 三菱電機
- 美濃窯業
- 村田製作所
- ヤマハ発動機
- リコー
- ルネサスエレクトロニクス
- ローム
取得可能資格
- –
教員
電子物理デバイス分野教員一覧
教授 | |
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池田 浩也 | 半導体ナノデバイス |
石田 明広 | 半導体工学 |
井上 翼 | 半導体工学 |
猪川 洋 | ナノエレクトロニクス |
小野 行徳 | 量子ナノデバイス |
古門 聡士 | 物性理論 |
佐々木 哲朗 | 光医工学 |
立岡 浩一 | 半導体工学 |
藤間 信久 | 電子物性一般 |
ミゼイキス V. | フォトニクス |
准教授 | |
伊藤 哲 | 量子エレクトロニクス |
岡部 拓也 | 物性理論 |
荻野 明久 | プラズマ理工学 |
小野 篤史 | プラズモニクス |
高野 泰 | 半導体工学 |
田村 了 | 物性理論 |
中嶋 聖介 | 磁性体ナノ材料 |
中野 貴之 | 結晶工学 |
根尾 陽一郎 | 真空ナノエレクトロニクス |
堀 匡寛 | 半導体デバイス |
助教 | |
佐藤 弘明 | 光デバイス |
文 宗鉉 | 真空ナノデバイス |
材料エネルギー化学分野教員一覧
教授 | |
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東 直人 | 物理化学 |
久保野 敦史 | 有機材料物性 |
昆野 昭則 | 電気化学 |
下村 勝 | 表面化学 |
須田 聖一 | エネルギー材料界面工学 |
原 和彦 | 電子・光材料 |
符 徳勝 | 材料物理 |
脇谷 尚樹 | 無機材料科学 |
准教授 | |
奥谷 昌之 | 無機光学材料 |
光野 徹也 | 半導体工学 |
小南 裕子 | 光物性工学 |
嵯峨根 史洋 | 電気化学 |
坂元 尚紀 | 無機光学材料 |
田中 康隆 | リチウムイオン電池 |
モラル ダニエル | ナノ電子材料 |
助教 | |
川口 昂彦 | 無機材料科学, 薄膜成長 |
松原 亮介 | 有機材料物性 |