静岡大学工学部
電気電子 桑原義彦教授~興味と気概、そして豊かな発想力。アンテナ研究者は、時代のニーズをも敏感に察知する。
PROFILE
桑原義彦教授
桑原研究室HPへ
1978年 慶應義塾大学工学部電気工学科卒業
1978年 日本電気(株)入社
1988年 防衛装備協会賞受賞
1997年 電波功績賞受賞
1999年 日本電気(株)退社
静岡大学工学部電気電子工学科情報処理システム講座助教授
2006年   同 教授
 
 
 
 
              
       
               
実用化を意識した企業との共同研究。
―――担当科目の概要と研究テーマについて教えてください。
  講義科目はプログラミングと数値シミュレーションを担当しています。研究は無線、専門はアンテナです。

お掃除ロボット
お掃除ロボット
東海地方の皆さんに身近な研究の成果としては、愛知万博に出展した「お掃除ロボット」の位置評定システムがあげられますね。お掃除ロボットは愛知万博のグローバルループをお掃除して回るロボットですが、この自律型ロボットに電波方向探知センサーをつけ、会場各所にある無線LANの電波がどちらから来るかということを頼りに、自分の位置を割り出すというシステムを企業と共同開発しました。

これから色々なロボットが社会に出てくると思います。例えば工場で働くロボット、病院のカルテ、給食を運ぶロボットなど…。ロボットは色々なセンサーを搭載していて、物にぶつからないように移動することはこれまでも出来たのですが、自分がどこにいるのかはわからなかったのです。それを可能にしたのが今回のお掃除ロボットです。このシステムを利用すれば、ロボットだけじゃなく、例えば病院で患者さんがどこに行ったかを詳細に知ることもできます。PHSを使って位置を知らせるシステムはすでに存在しますがあまり細かい位置まではわかりません。それに病院内ではPHSは使えません。今回のシステムはごく微弱な電波ですので病院内でも使えるし、細かい位置まで把握することが出来ます。


―――先生は、企業との共同研究を数多くてがけているそうですが?
  私の研究室のホームページを見て共同研究を申し込まれる企業が多いのですが、静岡大学はこれまで多くの卒業生を世に送り出し第1線のエンジニアとして活躍されている方が多いので、卒業生の口コミから共同研究となる場合もあります。今もいくつか共同開発を行っています。

電子タグ用電子ビームアンテナ
電子タグ用電子ビームアンテナ
 
電波暗室での電子ビームアンテナの実験
電波暗室での
電子ビームアンテナの実験
 
JRのスイカなどの電子タグってありますよね。 今の電子タグはセンサー面にパチっと置かないとだめなんですね。それを、置かなくてもポケットに入れたまま通り抜けられるようなものを研究中です。最近、電子ビームの方向が自在に変えられるシステムを試作しました。これはIDタグがどこにあるかを検知し、四方に分散している電波エネルギーを集約するビームを作って、その動きを追いかけていくシステムです。エネルギーを集約するということは、他の雑音等が入らないので確実な電子タグの検出ができ、検知距離も伸びるというメリットがあります。この試作を応用すれば、将来的にはスイカをポケットにいれたまま通り抜けられるようになると思います。

そのほか、オートバイ用の衝突防止レーダーの開発にも取り組んでいます。オートバイは動きの角度が色々変わりますので、全周が見られるようなシステムが必要ですね。また、高額にならないように比較的安価な装置で発生できるUWB(ウルトラワイドバンド)という信号を応用することを考えています。この信号は非常に短く、一瞬しか出ないのが特長です。レーダーは、光の速度で伝播します。だから信号の幅を狭めるとそれだけ正確に距離が測れます。それと、オートバイだと、自動車などの至近をすり抜けていくこともありますよね。UWB信号は至近距離を検出することも得意です。バイクだと後ろがみにくいので、現在は背面のセンサーを中心に研究を進めています。
    pagetop

Close-up Engineering 工学の未来を創生する研究者達
page   page1 page2 page3